2017年12月17日日曜日

ステラ・テナント(モデル) - "Stella Tennant" as a British model.




ステラ・テナント

英国貴族の血を継ぐスーパーモデル。


ステラ・テナント(Stella Tennant)は、イギリススーパーモデルである。

1970年12月17日生まれ。英国スコットランドのデヴォンシャー公爵家の血筋をひく貴族の出身であり、ダイアナ元皇太子妃とも血縁関係にある(姪にあたるという記事も、従姉妹にあたるという記事も)。母親のレディー・エマ・キャヴェンディッシュはデヴォンシャー公家出身。

ウィンチェスターの美術学校で彫刻を学ぶ学生だったが、友人が撮った写真をきっかけにモデルとなる。当時、まったくモデル業に乗り気でなかった彼女を、一流の写真家スティーヴン・マイゼルが電話で説得したという逸話が知られている。

彼女がデビューした当時の1990年代は、正統派のモデルから路線を外したウェイフ・モデル(ウェイフは浮浪者の意味)が流行で、彼女はケイト・モス(イギリスのスーパーモデル)と並んでその代表格のひとりだった。より具体的には、アンドロジナス(中性的の意)な魅力で、鼻にピアスをした貴族出身のパンク娘として話題になったという。

2000年代に入り、フランスの宝石ブランドCHAUMET(ショーメ)のイメージキャラクターにステラ・テナントが抜擢された。その新聞広告を偶然目にしたのがきっかけで、私は彼女を知った。


自分? 分身? クローン? ……ショーメのニューキャンペーンの顔、ステラ・テナントはリチャード・バーブリッジの撮った自分の新しい顔に驚いたり、喜んだり、笑ったり。この鏡の戯れの中の顔は、完全な自分ではないけれど他人でもなく、やっぱり正真正銘の自分で、彼女は「誰でもいろいろな顔を持っているのだから、不思議はないわ」と言います。

ここではステラは、完全な二重性を表しています。彼女は伝統と現代性の両方をもっています。古い家柄を誇るイギリス貴族の子孫、ステージの上ではシックで品格に満ちたトップモデルとして、メタリックな青い目とその存在感で万人を圧倒します。「彼女と一緒に仕事をするのは夢のようにすばらしい」と誰もが言います。実生活では彼女は魅力あふれる一人の女性で、3人の子供、5歳のマルセル、3歳のセシリー、そしてまだ9ヶ月のジャスミンの母です。彼女は子供たちのために、自分の出身地に帰ることにしました。

幼年時代を過ごしたスコットランド、エジンバラから1時間、国境から5キロの所にある、18世紀の城館を手に入れました。ジョージ三世様式のその館は、10ヘクタールの自然に囲まれています。村からもそう遠くはありません。彼女が育った両親の家はもっとずっと大きく、膨大な数の家畜を飼っていました。ニューヨークは彼女が一番好きな、暮らすにも仕事をするにもすばらしい街ですが、そこに長く住んだあとで、彼女は「ルーツがあるところ」ヨーロッパを選んだのです。母のレディー・キャベンディッシュはデヴォンシャー公の娘です。父はスコットランド人。夫のダヴィッド・ラネは、フランス人の写真家です。子供たちは土地の小学校から、良家の子女の進む道を選んで、セント・レオナード、それからセント・アンドリューの寄宿制学校に行くことになります。同じ道を歩んだステラは、「イギリスの教育より優れた教育があるかしら?」と問いかけます。

ステラは家庭、自然、田舎など、シンプルなものが好き。「私はイギリス精神の持ち主よ」と、イギリス人独特のユーモアで言います。ファッションや映画のきらめく世界より、彼女は私生活を大切にします。他のトップモデルのように映画やシャンソンへ進出する気はありませんかとか、10年後にはどんなことを、などと聞くのはやめた方がよさそうです。それより、彼女はたった今したいことをわかっていて、それを実現するために力を注ぎます。ニューヨークとパリで写真の仕事(パートタイムで、と彼女は付け足しました)を続け、ここスコットランドでは子供用のカシミヤの手編みセーターをデザインし、バーバリーのためにニットウエアをデザインする、とのことです。

彼女は自分の財産を現実的に管理しています。金銭については、「私はスコットランド式よ」とのこと。出費は地味で、家族の住まいに多く投資します。彼女はアパートをニューヨークに一つ、ロンドンに一つ持っています。あなたのウィークポイントは? それはジュエリー。買うのも身につけるのも好き。「決して後悔しない買い物よ」


以上は、 CHAUMET のカタログにあった、ステラ・テナントの紹介文である。

もっとも、彼女自身は、自らの生い立ちや経歴を、2014年のインタビューで次のように語っている。


「爵位も遺産も長男が継ぐから、私たちには何もないのよ。子供時代は田舎の家で動物たちの傍らで質素に暮らしていたわ」

「両親を驚かせようと思って、ウィンチェスターの美術学校にいっていた18歳の時に、鼻にピアシングをしたのよ。8歳で煙草を吸っていたし、ギネスも隠れて飲んでいたわ」


彼女は、今は限られたショーに友情出演する程度で、本業としてのモデル活動は第一線をとうの昔に引退している。普段は夫のフランス人ダヴィッド・ラネ(David Lasnet)と4人の子供とともに、イギリスの片田舎で田園生活を満喫している。一方で2011年にはブリティッシュ・ファッション・アワード(British Fashion Awards)のベストモデル賞を受賞し、2012年にはロンドン五輪の閉会式で英国を代表するトップモデルとして出演するなど、40歳をすぎた今もなお、若い頃以上に売れている。

現在の彼女は、家を不在にしてもよいと思えるほど素晴らしいと感じた仕事の時だけオファーを受けている、と語る。また、When jobs come up I'm still... "Wow! Weird!" Sometimes I see myself and I have no idea why they booked me." (私、いまだに仕事の依頼がくるとこう思うの。わぉ! おかしなものね! って。時々自分を見て、なぜ彼らが私を起用するのかわからないのよ。)とも語っている。


英国貴族の家系である彼女は、生まれたのが何世紀か昔だったなら、歌って踊るプリンセスとしてディズニー映画に登場したかもしれない。あるいは英国貴族の歴史を収めた資料に、公女や令嬢として登場したかもしれない。21世紀の現代において、貴族の末裔の肩書きがあり、トップモデルとして世界でやっていけるほどの美しさだ。望めば社交界デビューなど容易いだろうに、現実の彼女は片田舎で家族に囲まれた生活を最優先している。なので、相当な変わり者かもしれない。

前述のCHAUMETの広告を見たとき、ただの美人ではなく、物語性のある美しさを私は感じた。ティアラを身につけた彼女は、さながらミロのヴィーナスの彫像が生命を吹き込まれたような錯覚さえ漂っていた。彼女のルックスや仕草そのものが完成度の高い芸術作品のようだ。一方で、現代的な表情も違和感なくみせる彼女は、実に多種多様な雰囲気を持っている。世界最高峰のクリエイターたちがこぞって夢中になるのも頷けると思った。

インターネットで探ると、動画でも静止画でも、さまざまな彼女を見つけられる。ウォーキング(ランウェイを歩く様子)にやや難があり、猫背なのが気になる。つまりは姿勢や立ち振る舞いがモデルとしては未完成に感じるが、ポスター広告や雑誌の表紙での彼女はまさに変幻自在。キャリア・ウーマンのようであり、謎めいた美女でもあり、イギリスの片田舎の素朴な若奥様のようでもある。古風で華やかなドレスから、現代的でシンプルな黒いスーツ、はては普段着まで似合う、そんな人は彼女ぐらいではないだろうか。

イギリスの貴族の血筋がなせることかもしれないが、どことなく威厳や品位があり、雰囲気がある。「美人」というより「麗人」と表現するほうがふさわしい、そんな気がする。

ステラ・テナントに興味を持ってから、デヴォンシャーの爵位、キャベンディッシュ家やミットフォード家について、あるいは英国貴族の系図について調べた。あまりに膨大すぎて途方にくれた。とんでもない家柄ということは理解できた。

誰もが羨むようなブランドを背負いながら、当人は貴族の血を継いでいる事実を鼻にかける様子はない。いたって冷静だ。しかし冷静になれるのは、やはり古い歴史を誇る血がなせる業かもしれない。

いかにもモデルといった痩せ型で、美人だが生活感が感じられない。なのに実際には4人もの子供がいて幸せな家庭を築いているので、そのギャップも人気のひとつだろうか。


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