2018年1月20日土曜日

BANANA FISH(バナナフィッシュ:漫画) - as comic book.




BANANA FISH

死を招く魚。


BANANA FISH」(バナナフィッシュ)は、吉田秋生(よしだ・あきみ、女性、既婚)による漫画作品である。

雑誌別冊少女コミックにて1985年5月号から1994年4月号まで連載された。

作者の吉田は多数の漫画を発表しているが、現時点ではこれが一番の長編漫画で、彼女の代表作のひとつである。

1973年6月、ベトナム戦争の現場にて、あるアメリカ兵が突如、同じ分隊の兵士たちに自動小銃を発砲するという事件が起こる。このアメリカ兵は粗悪な麻薬の摂取によって精神障害を発症したと思われたが、仲間の兵士(マックス・ロボ)に取り押さえられた時「バナナ・フィッシュ」という謎の言葉をつぶやいた。

12年後、アメリカはニューヨーク市のストリートギャングのボス、アッシュ・リンクス(Ash Lynx : 灰色山猫の意)は、手下に殺された見知らぬ男が死ぬ間際に「バナナ・フィッシュ」という単語を口走ったことに疑念を抱き、事件の背景を探り始める。

冒頭の場面、自動小銃で発砲したアメリカ兵はアッシュの兄のグリフィスであった。

その頃、日本からはフリーカメラマンの伊部(いべ)が助手の奥村英二(おくむら・えいじ)を伴い、ストリート・ギャングの取材の為にニューヨーク市を訪れていた。やがてアッシュ、ロボ、伊部らは「バナナ・フィッシュ」の謎を追ううちに、コルシカ系の財団とCIA、そしてタカ派の連邦上院議員の間で秘密裏に進められていた化学兵器開発プロジェクトの存在を知ることになる。

ストリート・ギャングの抗争と連邦政府内部の陰謀、さらにコルシカ人財団や香港系の華僑の内紛などが絡み合い、事態は複雑な展開を見せていく。

本作の主人公・アッシュは、政治、経済、軍事、医科学などありとあらゆる学問に精通したIQ200の知性を持つ金髪の美少年で、かつSWAT並みのシューティングテクも持つ不良少年の設定だ。そんな彼が活躍をしながら、ハリウッドの巨編映画にも拮抗しうる物語を展開させていく。

なお、アッシュのあまりの天才ぶり(世界の株式市場を操作する、高等数学を楽に解く、アルジェの戦いにおけるカスパの攻防をシュミレートする)や活躍ぶりや美貌に「不自然」「やっぱり漫画だ」という評価も多いが、私はむしろ奥村英二が英語に堪能で、どんな状況にもそれなりに果敢に立ち向かう展開のほうが「不自然」で「やっぱり漫画だ」と思う。

「バナナ・フィッシュ」は、サリンジャーの小説に出てくる言葉である。この漫画における「バナナ・フィッシュとは何か? なんの隠語か?」という疑問は初期で明かされる。その後に様々な登場人物が複雑に絡み合う展開となるが、ものすごく巧みで、あっという間に読めてしまう。

一方で著者が番外編のメイキング漫画で「東西冷戦時代を前提とした時代の話だったので、連載中にソ連がなくなったのはシャレになんなかった」と語る通り、今読んでみると、若干、時間錯誤を感じる部分もある。たとえばパソコンは現代主流になっているアイコンをクリックする操作(GUI)ではなく、英文を打っていく操作(CUI)で表現されている。

長編漫画において、初期とラストで絵柄が違いすぎる作品があるが、これもそのひとつだ。初期は、当時流行の大友克洋チックな骨太な作風だったのが、中盤以降からは繊細な少女漫画風に変わっている。もっとも作者は漫画家として活動を開始した時期はさらに作風が異なっているので、この作品ばかりがどうしても目立つが、時代や流行に合わせているだけなのかもしれない。

血湧き肉躍る内容でアクションも心理戦も盛りだくさんの豪華な展開ではあるが、結末では静かな感動が待っている。ラストシーンについてはサイモン&ガーファンクルの「明日に架ける橋」がBGMとしてとても似合うと私は踏んでいる。


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